萌鉄'98 番外編
「超豪華特急ヴェガ、日本縦断の旅」


 北海道の稚内駅を出発し、九州の夢の崎駅まで15日かけて日本縦断する超豪華特急ヴェガ。8月1日発のたった1度だけ運転され、日本各地の観光地では24時間停車もする寝台観光列車だ。

 ・・・と、いうのはもちろん現実の話ではなく、今年発売されたプレイステーション(サターンもあり)用ゲームソフト『お嬢様特急(エクスプレス)』での架空の話だ。昔から推理小説などで列車を舞台にした物語は多いのだが、ついに恋愛シミュレーションゲームの舞台にまでなってしまった。

 さて、今回はゲーム内容は置いておいて、鉄的な観点から見たヴェガの旅を見てみよう。


 ヴェガは10両編成で、先頭が動力車、2両目が寝台車、3両目が売店やシャワー室がある車両、4〜7両目が客車、8両目が食堂車、9両目がゲームなどがある娯楽車、10両目がサロンになっている展望車。ゲーム内ではこれ以上の説明はされないが、稚内発ということはヴェガの動力車は当然ディーゼル機関車で、外見は新幹線の100系と500系を足して2で割ったような感じだが、2〜9両目は動力を持たない客車である。特殊な車両のため、電化区間でも機関車の付け替えはせず、そのまま走破していると思われる。

 では、稚内を発車した列車がどのような経路で進むのか、鉄の常識に照らし合わせながらツッコミを入れていくことにしましょう(笑)。


 まずは宗谷本線を走破する。最初の停車駅は旭川。所要時間はノンストップとはいえ1時間40分という驚異的なスピード。現実の列車でこの区間を走る最速の列車は急行「礼文」で、所要時間は3時間50分。あまりにも現実離れしたスピードにただ呆然とするのみ・・・。

 旭川に30分停車した後、函館本線で札幌へ向かう。所要時間は1時間50分。現実では特急「ライラック」や「スーパーホワイトアロー」が約1時間30分で走っていることを考えると、ヴェガはノンストップのわりに遅すぎ。しかし、ディーゼルだというハンデを考えれば妥当か。

 札幌では24時間停車し、観光地を回ることが出来る。時計台、TV塔、ラーメン横町、羊ヶ丘展望台・・・。

 札幌を出ると、次は函館へ向かう。所要時間は1時間40分。札幌から函館へ向かうには、札幌でスイッチバックして千歳線、室蘭本線、函館本線と渡り歩くのが普通だが、現実の特急は4時間近くかかる。むろん、函館本線を突っ走る経路もないこともないが、どんなに飛ばしてもこの時間は不可能である。もう少し考えろや。機関車牽引ということでスイッチバックを避けたいだろうからここは函館本線を通ったということにしておこう。

 函館では30分の停車。さて、困った。函館駅は行き止まりの駅で、江差線方面へ向かうにはスイッチバックして進行方向を変えなくてはならない。普通の機関車なら機回しすればいいことだが、固定編成のヴェガはそうもいくまい。むろん、ゲーム中の車窓の流れは変わらない。ま、ゲームなんだしそこまで考えていないか・・・。とりあえず、スピードは振り子でもなんなり100歩譲って理解できたとしても、これはOUT。北海道を出る前に「ゲームだから」の烙印を押すハメになった。


 気を取り直してプッシュ運転で函館を発車。江差線から海峡線に入り本州突入。津軽線に入って青森到着。所要時間は1時間50分。現実の特急「はつかり」とほぼ同じだが、プッシュ運転のディーゼルとしては現実離れしている。

 青森では24時間停車し、竜飛崎、津軽鉄道、ベイブリッジ、新町通りが徊れる。当然、津軽鉄道に行くでしょう(笑)。ここのグラフィックはすばらしく、五所川原駅にたたずむ津軽鉄道キハ22形がいい味を出している。しかし、結局乗車できず、グラフィックもこれ1枚というのは悲しいところ。実のところ、パンフレットに載っていたこのグラフィックを見て購入したといっても過言ではないのである(苦笑)。う〜む。

 青森を出ると東北本線をひた走る。次の停車駅は盛岡で、所要時間は1時間40分。特急「はつかり」は2時間強かかるがノンストップならこれくらいにはなるかも。30分停車すると次は仙台。所要時間は1時間50分。ほとんどノンストップの特急「北斗星」が2時間強。まぁ、許容範囲か。仙台では塩釜魚市場、青葉城址、松島、定禅寺通り、山寺が徊れる。

 仙台を出ると次は水戸。なんと常磐線経由である。所要時間は1時間40分。特急「スーパーひたち」でも3時間かかるのに・・・(以下略)。水戸で30分停車して発車。次は東京だ。

 水戸から東京まで所要時間は1時間50分。特急「スーパーひたち」が水戸〜上野を1時間10分で走ることを考えれば遅い。

 東京で24時間停車し、秋葉原、新宿都庁、臨海副都心、浅草、後楽園遊園地、吉祥寺、横浜の教会、中華街が徊れる。臨海副都心のグラフィックは我らが(?)ビッグサイトだ。


 さて、東京の先の経路が謎である。次の停車駅は高崎、松本、糸魚川と続くのだが、これはどうような経路でいったのか?東京から松本へ行くなら中央線だが、観光地でもない高崎へわざわざ寄ることはないから経由して長岡方面へ行ったのか?でもそれだと恐ろしいほど時間がかかる。となれば、これはもう今は亡き碓氷峠を通ったとしか思えない。ゲームが開発中の段階ではまだ碓氷峠はあっただろうから、100歩譲って旧信越本線を経由したということにしておこう。しかし、東京からはスイッチバックしてプッシュ運転である。高崎に30分停車して信越本線に突入。横川でEF63を連結して碓氷峠を越え、軽井沢でEF63を切り離す。この両駅は運転停車になるのか。東京〜高崎の所要時間1時間40分は妥当としながらも、高崎〜松本を1時間50分は驚異的。これなら長野新幹線なんていらないじゃん。篠ノ井で運転停車してスイッチバック、篠ノ井線で松本へ向かう。

 松本で24時間停車。浅間温泉、松本城、旧開智学校、上高地が徊れる。松本で再びスイッチバック。プッシュ運転になって大糸線へ突入。糸魚川へ向かう。所要時間は1時間40分・・・って、みんな同じだな。考えてないだけか(今頃気づくな!)。糸魚川で再びスイッチバックし、北陸本線を進む。

 次の停車駅は金沢。24時間停車で、片町、兼六園、武家屋敷、輪島、能登半島が徊れる。


 金沢を出ると米原で運転停車してスイッチバック。東海道本線で岐阜へ向かう。岐阜で30分停車して名古屋へ。ここの所要時間も常識はずれ。今や新快速が18分で走る区間を特急が1時間50分もかけて走るはずがない。岐阜は特にイベントがないんだから、ここは米原にしておくべきだっただろう。

 名古屋では32時間停車。名古屋城、名駅地下街、東山動植物園、長島スパーランド、名古屋港が徊れる。特に名古屋港は圧巻で、金シャチの遊覧船はバカっぽくていい。あと、地元人でも迷う名駅地下街の巨大ダンジョンを名所と言うあたりはさすが、名古屋人が作っているソフトだけはある(なにがだ)。

 名古屋で再びスイッチバックして、こんどは草津へ向かう。いや、ここの経路は関西本線+草津線かもしれん。画面の地図から見れば後者かな?

 草津で30分停車して次は京都へ。24時間停車して、清水寺、新京極、祇園、比叡山、金閣寺、太秦映画村が徊れる。

 京都の次は大阪。所要時間2時間、どんな走りやねん。

 大阪では22時間停車。大阪城公園、通天閣、梅田空中公園、海遊館、万博記念公園、アメリカ村、異人館、ハーバーランドが徊れる。

 大阪を出て、神戸を通過し山陽本線へ。次は岡山停車。

 次は広島で24時間停車。お好み村、厳島神社、弥山、中央通りが徊れ、イベントで路面電車にも乗れる。

 次は小郡。どこもそうだが、小停車駅の風景はウソだらけだ。のんびりした田舎の風景が出るが、そんなわけない。でも、下関ではなく小郡というところがなかなかやるぢゃないか(なにがだ)。


 九州へ入り鹿児島本線で博多へ。博多は36時間停車で、海の中道、中州、スペースワールドが徊れる。

 博多の次の停車駅は・・・、な、なんと阿蘇。熊本から豊肥本線へ入っていくではないか、どこへ行くヴェガ(笑)。

 阿蘇で30分の停車の後、こんどは謎の終着駅である夢の崎へ向かう。謎とは言うが、地図で見ればまんま鹿児島だし、ゲーム中で静花がハッキリ鹿児島だと言う。すると、阿蘇で引き返して鹿児島本線を進んだのか?まさか大分経由の日豊本線はないだろう。もうどーでもいいやー。

 そんなわけで15日の旅は終わった。

 このように、鉄的観点から見れば矛盾だらけだが、まぁ、こんなものだろう。鉄道を題材にしたゲームとはいえ、『電車でGo!』のような本格指向とはわけが違うということか。

 とはいえ、こんな感じで充分楽しめたことは事実なので、まぁ、いいゲームだったんじゃないでしょうか。最近の乱発されている恋愛シミュレーションゲームは全くやる気が起こりませんが、やっぱ舞台は大切かもしれません(正直言って、鉄道を舞台にしていなかったら、いや、津軽鉄道の絵がなかったら(笑)、買っていなかったかもしれない)。

 そんな感じです。たまにはこんな萌鉄もありか?!

 萌鉄'98番外編・・・をはり。


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