萌鉄2002 パート1
 「近鉄ローカル支線の旅」

北大社

2002年8月実施


 近畿地方に君臨する日本一の私鉄、近畿日本鉄道...通称「近鉄」。気が付いたら、近鉄沿線に住んでいながらこの萌鉄に近鉄をメインにしたパートが無かったので今回はめっちゃ地元で攻めてみよう。

名古屋口の近鉄線


 では、いつものように最寄り駅の近鉄名古屋線米野(こめの)から。

 米野駅は普通列車しか止まらない駅ながら2面3線の配線となっており、近鉄名古屋駅到着の特急列車が回送で米野駅の3番線に入線、スイッチバックして検車区へ入る仕組みになっている。そのため、かなり賑やかである。ちなみに、検車区から近鉄名古屋駅へは直接入線するため米野駅を通らない。
 また、米野駅の駅舎とは反対側にはJRの名古屋車両区が広がっており、こちらも賑やか。米野駅に一番近いJRの線路には名古屋駅から車両区へ入る回送列車が通り、さらに米野駅の地点で一時停車するから楽しい。ときおりJRの列車と併走する光景も見られる。

米野駅の3番線にアーバンライナー入線 米野駅1番ホームから見たJR名古屋車両区

 とりあえず、桑名方面の普通列車に乗る。各駅に停車しながら、今年から急行停車駅に格上げとなった近鉄蟹江に到着。ここで急行に乗り換え近鉄四日市へ。
 近鉄四日市駅・・・近鉄の四日市は「近鉄四日市」が正式名称で、単に「四日市」というと1km離れたJRの駅のことになる。
 ここで全国でもめずらしいナローゲージの内部・八王子線に乗り換える。


 内部・八王子線(うつべ・はちおうじせん)。近鉄四日市〜内部を結ぶ内部線と、途中の日永で分岐する八王子線(日永〜西日野)。列車は基本的に四日市〜内部、四日市〜西日野間で運行されているため、内部〜日永間は日中でも毎時4往復の列車が走る。
 内部・八王子線の四日市駅は名古屋線・湯の山線が高架なのに対して地上にある。高架橋下の片隅にあってなんとも窮屈な感じがする。
高架下のホーム 八王子線直通列車
 3両編成の八王子線列車に乗り込むと、のそのそと発車。線路が狭いからか、よく揺れる。そのため、あまりスピードが出ていないのに体感速度はかなり速い。わずか6分で終点の西日野に着く。
 西日野駅は1面1線のシンプルな駅で無人駅。駅前には自転車がたくさん止められていて利用者が多いことを物語っている。
西日野駅ホーム 西日野駅の駅舎
 日永〜西日野の1区間しかない路線なのに八王子線という名前は変だが、以前は西日野から先の八王子まで線路が延びていた。現在、西日野〜八王子間は廃止になっている。
 朝の10時ごろだが、乗客はかなり多い。そのまま折り返し、日永で降りる。列車はそのまま内部線へ直通する。


 日永駅は内部線と八王子線分岐した先に三角形の形で存在しており、内部線ホームは相対式で直線なのに対し、八王子線ホームはカーブした1面一線である。ただ、以前は八王子線ホームも行き違いが出来たようで使われなくなったホームが残っている。
日永駅の八王子線ホーム 日永駅構内全景
日永駅の駅舎 内部行き列車
 そうこうしていると内部行きの列車がやってきたので躍り込む。わずか11分で終点の内部へ到着。
 内部駅はホーム1面1線の配線だが構内側線があり、車両庫もある最大の駅。線内唯一の有人駅でもある。切符も売っているので、訪れた証に入場券を購入。近鉄には硬券の入場券が健在。
内部駅ホーム 内部線の果て
内部駅の駅舎 検車区
内部駅入場券
 列車は静かに四日市へ向かって折り返す。 


 四日市からはそのまま桑名へ移動。桑名駅の駅舎を出て数分あるくと、桑名駅の「東側」に「西桑名駅」がある。またしてもナローゲージ北勢線の駅である。
西桑名駅の駅舎 西桑名駅のホーム
 北勢線(ほくせいせん)。西桑名〜阿下喜を結ぶ路線。線路の幅は内部・八王子線と同じく狭い。広軌の名古屋線よりはもとより、狭軌のJR関西線よりも狭く、幅の異なる3つの線路が平行する桑名駅周辺はおもしろい所である。西桑名駅は基本的に桑名駅とは別の駅のようで、駅舎も全く個別。またしても入場券を購入したが、当然のことながら「桑名」ではなく「西桑名」と記されている。
西桑名駅入場券
 次の列車は途中の北大社(きたやしろ)までの区間列車だが悠々と躍り込む。乗り心地は内部・八王子線と大差ないが、より下町間があって情緒豊か。
改札口 北大社行き
 途中、北大社に着く。ここは北勢線の中枢駅で車両基地がある賑やかな駅。ホームは2面3線だが、2面の島式ホームに3本の線路が面しており、真ん中の線路は両側がホームに面している。
北大社に到着(左の列車にて) 北大社の駅舎
駅構内 車両区
 有人駅なのでやっぱり入場券を購入。
北大社駅入場券
 北大社〜阿下喜は基本的に1時間に1往復程度の運転になる。
 阿下喜行きの列車がやってきた。阿下喜行きが到着すると北大社始発の列車が西桑名方面へ発車していった。
阿下喜行き 北大社駅前の踏切を通過する西桑名行き
阿下喜行き
 阿下喜行きの列車に乗り込む。時刻は13時、乗客はまあまあいる。3両編成の車両で微妙に空席がある程度。北大社〜阿下喜間は山の中のローカル線という雰囲気があって素晴らしい。
 そうこうしているうちに終点の阿下喜(あげき)へ到着。阿下喜は1面1線の終着駅で、構内には側線がたくさんあった跡があるが1本を残して撤去された模様。終着駅で立派な駅舎があるが無人駅で、駅前にはたくさんのタクシーが出迎えていた(が誰も乗らない)のが印象的。すぐ駅前にはバスターミナルがあり、すぐさま桑名行きのバスが出ていったのも印象的である。
阿下喜駅の駅舎 北勢線の果て
貨物時代の名残 改札
側線が一線残る 車内
阿下喜駅乗車票
 とりあえず、折り返す。このまま帰ってもおもしろくないのでどこか途中駅に降りよう。あらかじめ目を付けておいたのが上笹田(かみささだ)。田園風景を一望出来る全く何もない駅。
 上笹田で降りたのは私ひとり。むろん、乗る人もいない。1面1線で駅舎もない。駅前に自転車が1台だけあったので利用客はいるのだろう。
上笹田駅のホーム 駅入口
 次の列車が来るまで1時間。その間に阿下喜行きが来るのでその写真でも撮りつつ、全てを超越した神々しい時間を過ごす。
駅前風景 緑の中を走る
 1時間後、西桑名行きが来る。もちろん、上笹田から乗ったのは私ひとり。乗客はまあまあ多い。
上笹田駅乗車票
 北勢線はワンマン運転になっているはずだがなぜか車掌が乗っている。しかし、ドアの開け閉めは運転手が行っている。車掌は切符の販売はするが改札業務はせず(つまり、乗るときも降りるときも切符を確認しない)、いまいち存在に疑問が持たれる。これではキセルし放題ではないのか?


 まあ、西桑名へ戻る。歩いて桑名へ行き、ここからは養老線にのる。

 養老線(ようろうせん)。桑名と揖斐を結ぶ57.5kmの長大ローカル線である。途中、大垣で系統が分割され、列車は桑名〜大垣、大垣〜揖斐の運転(区間列車もある)。線路の規格は、桑名で名古屋線と接続しているがJRと同じ狭軌で名古屋線と直通運転出来ない。これは貨物輸送していた時代に国鉄の線路と繋がっていた名残り。しかし、実は密かに名古屋線と養老線の線路は繋がっているらしい。
 乗った列車は途中、美濃松山までの区間列車。また、自転車を車内に持ち込むことが出来るサイクルトレインである。
桑名駅に停車中の養老線列車
 しかし、3両編成に乗客はロングシート1つに1人程度。しかもそのほとんどが次の播磨で降りてしまい、終点の美濃松山まで行ったのは私以外におばちゃんが1人いただけだった。あまりにも空気運びすぎ。時刻は日曜の午後4時である。
空気を運ぶ
 美濃松山は相対式ホームの無人駅で駅舎もない。なぜこの駅が終着なのか意味不明だが、折り返し設備の関係かなんかで実質は一つ前の多度までの列車だろう。
美濃松山駅 昔ながらのドッポン便所
美濃松山駅付近にて 美濃松山駅乗車票
 30分待つと大垣行きの列車が来た。乗客は3両編成のロングシート1つに2〜3人程度でさっきよりは多い。この列車もサイクルトレインだが、結局最後まで自転車を持ち込む人はいなかった。
美濃松山駅に入線する大垣行き 美濃松山駅に停車中の大垣行き
 大垣へ着くと向かいのホームから揖斐行きが発車。大垣の次の駅の室までは桑名方面の線路が平行して線路別複線になっている。室は揖斐方面と桑名方面の線路に挟まれているが桑名方面にはホームがない。
大垣駅養老線ホーム
 JRの大垣車両区を掠めながら進む。微妙に田園風景、微妙に町並みがあり、乗客も桑名〜大垣間よりも多いような気がする。
 終点の揖斐に到着。有人駅で1面1線。構内側線もあるが使われているかどうかは不明。広大な構内は昔、貨物輸送が盛んだったことを偲ばせる。ここでも入場券を購入。近畿を網羅する近鉄の北の果ての駅である。
揖斐駅ホーム 揖斐駅の駅舎
近鉄北の果て 貨物側線
この建物も貨物施設? 揖斐駅入場券


 近鉄の名古屋口はあまりにも地元のため、もちろん遙か昔に乗車済み。しかし、あまりにも身近すぎるがために乗車の機会は少ないのかもしれない。身近で鉄しても新たな発見が出来るものである。


 萌鉄2002パート2へ続く。


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