16.アナログレコード(2001/8/5)


 久しく音楽っぽい話をしてなかったけど、今回はこんなネタ。

 私の世代だと、幼少の頃に音楽を聴くといえば、アナログレコードかカセットテープだった。家には学習机くらいの巨大なレコードプレイヤがあり、童謡やらアニメの主題歌やら、いろいろなレコードを買っては(買ってもらっては)聞いていた。アナログレコードとはもろいもので、ちょっと力を入れただけですぐに割れるし、ちょっとキズがつけば音飛びする・・・そういう代物で、今でも扱うときは慎重になってしまうのだが、幼少の頃はかなり乱雑な扱い方をしていたと思う。今でもその頃のものがいくつか残っているが、すり減った溝、無数についたキズなど、状態はかなり悪い。それでも、そのひとつひとつに思い出がある。音楽とはすばらしい。

 その後に買い換えた普通のレコードプレイヤも15年使い、2年前の家屋改築に合わせて処分、ここ2年間はアナログレコードとは無縁の生活を送っていた。ホントはすぐに買うつもりだったけど、取り急ぎ必要のないのでズルズルと買えずにいた。

 で、まあ、衝動的になんとなく欲しくなった気がしたので、気ままに買う。最初は敬意(?)とミエで10万くらいの中級プレイヤでも買うかと思ったが、よくよく考えればオーディオマニアでもないし、過去の資産をとりあえず再生出来ればいいんで安物に落ち着いた。パイオニアのPL-J2500。実売8000円。おぃおぃ8000円かよ、と思うが、一応ポータブルぢゃないしプリアンプ内蔵なんでこれに落ち着く。でも、いい時代になったなー。


 久々のアナログレコード・・・実のところ、プレイヤを所持していなかったこの2年間にも何枚かアナログレコードを買っていたりする(笑)。別に聞かなくてもいいものばかりだが、とりあえず聞いてみる。安いプレイヤなんで音には期待していなく、実際そういう音だが、やはり腐ってもアナログサウンド。最近のCDにありがちなせせこましい感じは全くなく、実に豊かなサウンドだ。う〜む、久々に聞くとやっぱいいねぇ。

 予想以上に気に入ったので、CDとアナログレコードで同じ曲を掛けてみる。もちろん、アンプとスピーカは同じ物を使う。おぉ、アナログレコードの方が高音のノビが自然な気がする。CDはザラっとしたイメージ。低音もアナログレコードの方が豊かだ。やはり、アナログレコードの方が断然いい感じ。もっとも、このCDはアナログの焼き直しなのでアナログ盤よりも劣るのはしかたがないところだが。

 世の中には未だアナログレコード信者がいるが、それもかなり納得出来る。すっかり忘れていたが、この心地よさは今のCD時代には新鮮だ。

 しかし、と同時に忘れていた煩わしさも思い出された。レコードによって回転数を合わせなければならなかったり、シングルだと1曲で終わり、B面(カップリング)を聞くためにはレコードを裏返さなくてはならない。次の曲に進みたいと思ったら、針を目分量で移動させなければならない。う〜む、これも味だといえば味だが、世間一般から見ればただ「不便」なだけだ。どうひいき目に見ても「過去のもの」であることには変わりない。

 それでも、「針を落とす」瞬間というのはいいものである。なんか知らないが、わくわくする感じ。針が盤に落ち、「プッ」と言ってから曲が流れ出す間の時間がまた良い。この情緒は、CDプレイヤの再生ボタンを押すときには全く味わえない。


 今後、アナログ盤が見直されることは残念ながらないだろう。一時期、アナログ盤にレーザーを当てて再生するプレイヤが出るとか出ないとかあったけど、それこそアナログとデジタルの悪いところを併せ持ったような代物で、全くもって意味がない。昔の資産を守るという意味では、いつまでもアナログプレイヤを作り続ける・・・という以外にはないと思うし、それ以上は必要ない。シンプルだから魅力があり、飾り立てると見劣りする。不憫よのぉ・・・。

 そんな感じで、これからも気まぐれと偶然を装いながらアナログレコードを買うことだろう・・・。


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