PC-8801MAリペアのお話し

2020.7/25


 PC-88のお話しです。
 ACTIVE GAMERSはPC-88用のソフトの制作で1990年に活動を開始し、1996年まで88ソフトを制作していました。
 私NT-3は1985年から88シリーズを使い続け、いろいろあって4台の88を所有していましたが譲渡したり売却したりして最後にMAが一台残っていました。その後はエミュレーター環境へ移行し、MA実機もいつしか起動することもなくなり倉庫の片隅で眠ったままとなりました。
 そして2020年、ふとしたきっかけ、いえ、FM音源のアルバムを作り始めたことがきっかけですが、エミュレーターの音と実機の音ではどうしても違いがあることが気になり始め、ハードウェア音源として演奏させるための環境としては多連装音源システム『G.I.M.I.C』を導入したのですが、ゲームや音楽集を楽しむときも本物の音で聴けたらなあと思っていました。
 そんなときに、HxCフロッピーエミュレーターの存在を知り、いえ、存在そのものは知っていたのですがハードウェア(特にケーブル)を自作しなくてはならないらしい等、導入に自信がなくて手を出していませんでしたが、PC-88にそのまま繋げるようにケーブルなどもセットになったものを入手する機会に恵まれたため、すぐさま入手してしまいました。エミュレーター用のディスクイメージを使って実機が動くなんて夢のようではありませんか?そうして、PC-88再稼働計画が開始されたのでした。
 しかし、発売から33年が経過したハードです。そう簡単にはいきませんでしたよ、ええ。

形から入るPC-88再稼働計画。
まずはキーボードのホワイトニングからはじめました。ワイドハイターexを10倍に薄めて日光浴です。強すぎると印刷が消えるという情報もあったのでここは手堅く行きます。なんでキーボードから始めたかと言えば、やはりドロドロ?のキーボードはさわりたくないじゃないですか。ホワイトニングというよりもよごれを洗っているうちにホワイトニングも、ということになり、やってみれば少しはきれいになった気がした、程度ですが、まあまあかも。
MAの蓋を開けました。
左側のドライブの上に乗せてあるのがHxCフロッピーエミュレーターです。
ところが、BASICは普通に起動するのですが、ゲームソフトが起動しません。いやな予感がしつつも、ネットでよくみかける情報で、充電池が液漏れして基板を壊すという話しがあったので、充電池の除去をすることにしました。
充電池ありました。しかしこれは・・・、液漏れしてますよね。しかも我らが命のYM2608のすぐ近くで。
取り急ぎ、ニッパーで足を切断して取り外しました。
マザーボードの下はこのありさまです。
これは完全に液漏れし終わった感じがします。
もしかしてご臨終でしょうか。

ハードぜんぜんだめな私が見てもヤバイ雰囲気です。
そして、どうも音楽が鳴り始めるだろう箇所で必ずハングすることがわかりました。FM音源に対応していないV1モードのゲームは動くし、極めつけはBASICでFM音源をONにする命令「NEW CMD」した瞬間にハングするため、見た目も音まわりがやられていることから、充電池の液漏れが原因と思うのが自然でしょう。

さて、困りました。再稼働計画は暗礁に乗り上げました。
もちろん私には修理するウデも知識もありません。


私の88MAリペアの記事直リンクはこちら
いろいろな方にご相談しながら、リペアの方法がないか探していました。
というのも、中古で新しく購入したとしても同じような問題があるかもしれないし、購入するならリペア品を、と思いました。そんなこんなでどうしようか探しているうちに、最終的にレトロPCリペアの第一人者である あやちだいちさんにお願いできることになりました。
あやちさんのサイトにも数々のリペアの記事が!!
あやちさんにお願いしてからは、作業の経過を詳しく教えていただきました。
問題の液漏れの修理に関しては、修理できるかどうか五分五分なことと、幸いあやちさんがMAのマザーボードの予備を持っていたことから、そちらに交換していただけることになりました。
今後も安心して使い続けられるように、電源ユニットも含め、電解コンデンサの交換もしていただきました。
私が分解して元に戻すときにいろいろやらかしていた(笑)ことも判明し、レクチャいただいたので勉強になりました。

写真提供:あやちさん
そして修理だけではなく、ホワイトニングまでお願いできることになりました。
けっこう変色が激しいのですが、私も今回知りましたが、この黄色になるのはよごれではなく変色(化学変化?)らしく、洗っても落ちないようです。ただ、漂白しすぎるとロゴが消える!!など恐ろしい情報もネットでみたので自分では手を出せませんでした。あやちさんは独自の手法でロゴを残したままホワイトニングされるとのことで、写真のように、ホントにこれが同じものかと思うほどきれいにしていただきました。
そして、完全復活しました。
これ見てくださいよ、もう新品みたいじゃありませんか?
キーボードもホワイトニングしていただきました。
私のなんちゃってホワイトニングとはまるで次元の違うすばらしい仕上がりです。
内蔵スピーカーは新しいものに取り替えていただきました。
というのも、私が分解したときにスピーカーをやぶいてしまったのでした。いや、やぶいてなくてももうカチカチだったのですが・・・。
FM音源もバッチリです。
ひさびさの実機、こんなにいい音してたんですね!
(実機で聴くイース3「Be careful」)

念のために言いますけど、これ、昔の写真じゃありません。2020年ですよ!!

あやちさんにはホントに感謝です。
こんなにも手厚くリペアいただいてありがとうございました。
そしてようやくHxCフロッピーエミュレーターを取り付けました(写真はまだ固定していません)。
エミュレーター用のイメージファイルで拙作『夜明けのメリーゴーランド』を動かしたところ。感動です!

せっかく復活した88、つなぎ替えるとフロッピーも使えるし、イメージからフロッピーへの書き出しも出来てしまいます。これはまた何か作らないといけないって気持ちになってきますね!

実機復活ですが懐古主義じゃなく、HxCでまた新しい世界が実機で広がった気がします。

88よ永遠に!


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