PC-9821V12メンテのお話し

2020.8/23


 PC-98のお話しです。
 ACTIVE GAMERSはPC-88用のソフトの制作で1990年に活動を開始しましたが、翌1991年から88版ソフトを98へ移植しはじめ、1994年から1997年までは98用ソフトをメインに制作していました。
 私NT-3はいろいろあって4台の98を所有していましたが譲渡したり売却したりして最後にPC-9821V12が一台残っています。4台のうちV12以外にスペックが上のV200もあったのですが、最後に98を残す際、残す理由はDOS環境のためだったので、V200はリセットボタンもないしUSBなども付いていてDOS環境としてはオーバースペック気味のような気がしたのと、やっぱ横置きがいい(笑)との考えでV12を残すことにしました。本業でもPC-98を使い続けていたことと、MIDIによる楽曲制作においてはDOS版レコンポーザが慣れていて速いためずっと使い続け、あれよこれよと2020年になっても現役で使い続けてきてしまいました(余談ですが曲作りも98だけで完結することはなく、ラフ版の元MIDIを98で作って、その後工程はDAWで行います)。
 そして2020年のある日、日付や時間を記憶するバックアップ電池が切れていたので交換した際に中を開けてみて、これも25年選手なんだよなと思い、これからも使い続けるならメンテが必要だと思い始めました。しかも、Windows機とのデータのやり取りは3.5インチのフロッピーディスクだけです。Windows98も別パーテーションで立ち上がるので、WindowsからLANでファイル共有もできなくはないけどもう10年以上やっていない。HDDも交換したとは言えもうそれも20年前。FDDかHDDが壊れたら終わりじゃないかと危機感が募ってきました。
 というわけで、本格的な延命処置をしようと思い立ちました。とはいえ私はハードはまるでダメなので信頼できるところへ頼むことにしました。

今回のポイントは「FDDとHDDの故障の心配をなくす」ことです。
FDDはHxCフロッピーエミュレーターに置き換えます。
FDDは一台しか内蔵していないのでその下のスペースが空いています。そこにHxCをマウントして、フロントパネルはなんと、穴を開けてもらいました。これは便利。
FDDと置き換えでもよかったのですが、FDDもメンテしてもらってすこぶる快調です。
ドライブ構成はHxCがドライブ1、FDDがドライブ2になっています。HxCは1台で2ドライブとして機能しますが、98実機であまりゲームはやらないため、この構成で良いだろうと判断しました。HxCを2ドライブとして使いたい場合はFDDのケーブルを外してHxCのディップスイッチを切り換えることで可能になります。

カバーを開けたところ。
HDDはSSDに交換出来ればいいのですが、当然98用のSSDなんてありません。
しかし、CFカードをIDE化して疑似SSD化するというすばらしい方法があったのです。
左側の4GBのCFカードがHDDの代わりになりました。カリカリ音もしないし快適です。
その下にはHDDがあるのですが、撤去せずにそのままマスター、スレーブの関係で繋がっています。
HDDとCFでバックアップできますね。

右側はFDDがあり、見えませんがその下にHxCがあります。
CPUは、V12は元々Pentium120MHzですが、K6IIIに載せ替えてありました。
Windows98を使っていたので意味があったのですが、もうDOSしか使わないのでオーバースペックです。
しかもこれのせいでPC-9801-86音源ボードが正常に動作しません。

今回のメンテナンスではCPUは元に戻してもらうことにしました。
しかし、このK6IIIも手放したらもう二度と手に入らないかもしれないので、老朽化したコンデンサを新品に貼り替えたりファンもメンテしていただいた上で保管することにしました。
こちらが作業後の写真。
CPUはPentium120MHzに戻りました。
また、マザーボードや周辺基板、電源ユニットもコンデンサ交換等のフルメンテナンスをしていただきました。
メンテ前の上の写真と比べるといろいろ変わってますし基板もピカピカですね。
これはPCIスロットに刺さっているLA2/T-PCIというアイオーデータ社製LANカードです。
DOSからは使いませんが、緊急時、つまりFDDが故障したときにWindows98を立ち上げてLAN経由でデータを取り出せるように残してありました。
こちらもしっかりメンテナンスしていただきました。

そして98でDOS版レコンポーザを使う時に欠かせないのがRoland社のMIDIインターフェースボード、スーパーMPUことS-MPU/PCです。これが壊れてもおしまいです。まさしく命!
こちらもバッチリメンテナンスしていただきました。
背面のCバスには86ボードとS-MPU、PCIバスにはLANカードが刺さっています。
メンテ後は86ボードも完全動作するようになりました。
そしてHxC搭載、CFカードによる疑似SSD化と各種メンテナンスで、またしばらく安心して使っていけそうです。
ここまでのメンテは、PC-98のパワーアップや改造には定評のある第三研究所様にお願いしました。
TRISS様には私のあいまいな要望に対して具体的な手法を考えてくださり、FDDを残す案や、CPUを戻すことについてのアドバイスまでいただき、たいへんお世話になりました。
ありがとうございました。
PC-9801-86サウンドボードについては、今回新調しました。
WIDENET様のコンデンサ交換、高音質化バイパス改造、ADPCM用メモリ「ちびおと」搭載の整備品。

まさか再びちびおと搭載の86ボードが手に入るとは思いませんでした。
以前ちびおと付き86ボードを持っていましたが前述のとおりV12で使えなかったのでV200に装着したまま手放してしまいました。
音質については旧来品がもうないのと、あっても当時と同じ音が出ているかわからないため、ホントのところは不明です。
ただ86ボードは元々(PC-88と比べて)曇ったような音の印象だったため、今回は比較してもあまりそう感じないことが高音質化の効果なのだと思っています。

WIDENET様はお手元の86ボードの改造や、ちびおとではないオリジナルのADPCMサブボードの取り付けプランもあるそうですので、興味がある方はご相談してみては?

※なお、第三研究所様でも改造メンテの86ボードの取扱いや改造サービスがあるそうです。
それから一ヶ月が経ったある日、HDDから異音がするようになりました。
まだ読み書き出来ますがいつ壊れてもおかしくない状況です。
あぶないとは思っていましたが、ついにこの時が来ました。
疑似SSD化やっておいてよかったです。
で、どうせなら今回得た知識を活用してCFカードによる疑似SSDを2台構成にすることにしました。
中国メーカー品でしたがPCIバスからCFカードを取り出せる形のCF-IDEボードがあったため、HDDの配線をこちらに差し替えました。
PCIバスの場所を使っているだけで、PCIバスそのものは使っていません。
LANボードはたいせつに保管します。

なお、CFカードは98のHDDフォーマットなのでそのままではPC/AT互換機で読めません。
まりもさんのConv98ATというツールを使うと読み書き出来るようになります。
AT機側にフルバックアップできるので安心です。

というわけで、ソフト化でスカスカになったラックには、メンテ済みの98と、メンテ済みの88が鎮座しています。
レポートの作成の順番が逆になりましたが、98のほうを先にメンテしています。

98よ永遠に!


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